三番煎じの日記
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「謙太…。」
久しぶりに彼女に話し掛けられた僕はその喜びと憂い、安堵と不安で全身の力が抜け落ちた。
会えて良かった。でも会わなきゃ良かった。その正反対の想いの葛藤が僕を苦しめる。
僕が亜依に恋心を抱くようになったのは今から一年半前。まだ着慣れぬ制服に身を包み、中学生のようなあどけなさが残る入学直後のことだ。
あの日僕らは新入生の合宿…どこの学校でもやるあの洗脳合宿でオリエンテーリングをしていた。
亜依とはこのとき同じ班で親しく話すようになりいつしか僕は彼女のことしか考えられなくなった。
それから半年たったある日。教室に忘れ物を取りに戻った僕は禁忌を犯した…といえば大袈裟かもしれないが見てはならない物を見てしまった。
同じクラスの堀内と古場が教室でキスをしていたのだ。
初めて見る彼らのキスはどこかぎこちなくも、煽情的だった。
そう思ったのは僕だけでは無いはず。廊下を通り過ぎる誰もが彼等のキスに見入っていた。
その中に亜依がいた。彼等のキスを見て顔を赤らめている。きっと彼女も初めて見たのだろう。
「いいなぁ、キスなんかしちゃって。私もいつか…。」
「したコトないんだ、彼氏いないの。」
「いるわけ無いじゃん、私のこと好きな人なんてどこにもいないよ。」
そのときチャンスだと思った。告るなら今しかない。キスなんか見てテンションが上がってたんだろう。根拠の無い自信が僕をあと押しした。
告白の文句はこうだ。
「じゃあ…僕はこの世に存在しないみたいだね。」
ストレートに「好き」と言うのは恥ずかしくて婉曲的に言ってみたが理解されなかったらしい。その日は諦めて帰ることにした。
その晩風呂からあがって携帯を見ると亜依からメールが来ていた。
「今日の帰りに言ってたのってどういう意味?あれからずっと考えたけどわかんないから教えて。」
正直悩んだ。ここで普通に告白して良いのだろうか…。悩んだ揚句こう返信した。
「亜依を好きな人がいないなら僕はこの世にいない。亜依を好きな人がこの世に存在するのなら僕はちゃんといる。僕がいま生きているということは亜依のことを好きな人がいるってことだよ。」
送って後悔した。
こんなメールが来たら普通引くだろう。
まだ9時だけど寝ることにした。
朝起きると亜依からのメール。開くのが怖くて見ずに登校した。
案の定亜依は目を合わせてくれない。近付くと席を立ってどこかに行ってしまう。
「俺はフラれたくらいじゃくじけない」って歌にあるけれど僕の心は失恋に耐えうるほど強くはなかった。
授業はずっとうわの空。
ノートをとる気力も無く、刻々と時だけが流れる。
最終授業が終わり、帰ろうとすると亜依が声をかけてきた。
残酷な結末を予想してた僕は、考えと食い違った彼女の口から出た言葉を認識出来ず理解するまでに数秒かかった。
「早く帰ろっ。それともどっか寄って帰る?」
状況を理解出来ないまま亜依と帰ることにした。
「昨日…ごめんね。」
とりあえずそう言ってみた。
「寝てたんだよね?返信遅くなった私が悪いんだから気にしなくていいよ。」
ますます理解出来ない。
気になってあのメールを見ることにした。
「やっぱりそういう意味だったんだ。変に期待したくなかったから聞いてみたんだ。私も謙太のこと好きだよ。だから私と付き合ってください。」
メールが届いたのは午前2時。悩んで悩んでやっと送ったのだろう。
やっと全てが理解出来た。失恋から半日で僕は恋が実った。
それから別れるまで月日が流れるのは早かったけれど。
本当に…。
亜依と別れたのはあれから1週間後。
他に好きな人が出来たみたいだ。
別に嫌いになったわけじゃない。ただ他にも好きな人が出来ただけ。
中途半端なままでは付き合えない。そう言ってきた。
僕らの初めてのキスは別れた日、最後のお別れにと彼女の家の前でした。
僕が別れることを承諾したあと静かに彼女は言った。
「目を閉じて。」
この後なにが起こるかは容易に想像がつく。
初めて触れる女の子の唇は柔らかで、その直後彼女の舌が僕の口に入りこんできたときは少し驚いた。
その舌は想像以上に柔らかく、互いに少し遠慮がちに絡め合うことで存在を確かめあった。
その時間は永遠のように感じられた。
互いの唇が離れたあと、僕らは何も言わずそれぞれの帰路に着いた。
それから僕らはただのクラスメイトに戻り半年前には、僕らは別々のクラスとなった。
1組と7組で教室が離れてることもあって話すことは無く、学年集会でたまに見かける程度だ。
でも僕は今でも狂おしいほど亜依が好き。
別れた日からしばらくは喪失感が僕を襲い、何をする気力もなくただ時の流れに身を任せた。
一度手に入れたものを失う辛さは初めから手に入らない苦しみの何倍も大きい。
こうなるくらいならあの時にフラれていれば良かったかもしれない。
でもたった一週間でも亜依は僕に幸せをもたらしたことも事実だ。
初めてのキスが亜依で本当に良かった。
僕が亜依からもらったもの、無くしたもの、どちらが大きいかなんて分からないけど、亜依との想い出は僕にとってかけがえの無い物であることは確かだ。
風の噂で亜依が別の男にフラれたと聞いたとき「そのスキに付け入るようなことはしない、亜依がまた話しかけてきたら少しずつ近づいていこう。」と決めていた。
だから…久しぶりに彼女に話し掛けられて僕は驚いた。まさか全身の力が抜け落ちるなんて。
ここまで思い詰めているだなんて自分でも思ってなかった。
これからどうなるかなんて分からないけど、僕は亜依の傍にいたい。
それと、きっかけを作ってくれた堀内と古場には感謝してる。
キスが僕らの恋を始めて終わらせた。
だからまたコレで始めてみようと思う。
Smooch!!
久しぶりに彼女に話し掛けられた僕はその喜びと憂い、安堵と不安で全身の力が抜け落ちた。
会えて良かった。でも会わなきゃ良かった。その正反対の想いの葛藤が僕を苦しめる。
僕が亜依に恋心を抱くようになったのは今から一年半前。まだ着慣れぬ制服に身を包み、中学生のようなあどけなさが残る入学直後のことだ。
あの日僕らは新入生の合宿…どこの学校でもやるあの洗脳合宿でオリエンテーリングをしていた。
亜依とはこのとき同じ班で親しく話すようになりいつしか僕は彼女のことしか考えられなくなった。
それから半年たったある日。教室に忘れ物を取りに戻った僕は禁忌を犯した…といえば大袈裟かもしれないが見てはならない物を見てしまった。
同じクラスの堀内と古場が教室でキスをしていたのだ。
初めて見る彼らのキスはどこかぎこちなくも、煽情的だった。
そう思ったのは僕だけでは無いはず。廊下を通り過ぎる誰もが彼等のキスに見入っていた。
その中に亜依がいた。彼等のキスを見て顔を赤らめている。きっと彼女も初めて見たのだろう。
「いいなぁ、キスなんかしちゃって。私もいつか…。」
「したコトないんだ、彼氏いないの。」
「いるわけ無いじゃん、私のこと好きな人なんてどこにもいないよ。」
そのときチャンスだと思った。告るなら今しかない。キスなんか見てテンションが上がってたんだろう。根拠の無い自信が僕をあと押しした。
告白の文句はこうだ。
「じゃあ…僕はこの世に存在しないみたいだね。」
ストレートに「好き」と言うのは恥ずかしくて婉曲的に言ってみたが理解されなかったらしい。その日は諦めて帰ることにした。
その晩風呂からあがって携帯を見ると亜依からメールが来ていた。
「今日の帰りに言ってたのってどういう意味?あれからずっと考えたけどわかんないから教えて。」
正直悩んだ。ここで普通に告白して良いのだろうか…。悩んだ揚句こう返信した。
「亜依を好きな人がいないなら僕はこの世にいない。亜依を好きな人がこの世に存在するのなら僕はちゃんといる。僕がいま生きているということは亜依のことを好きな人がいるってことだよ。」
送って後悔した。
こんなメールが来たら普通引くだろう。
まだ9時だけど寝ることにした。
朝起きると亜依からのメール。開くのが怖くて見ずに登校した。
案の定亜依は目を合わせてくれない。近付くと席を立ってどこかに行ってしまう。
「俺はフラれたくらいじゃくじけない」って歌にあるけれど僕の心は失恋に耐えうるほど強くはなかった。
授業はずっとうわの空。
ノートをとる気力も無く、刻々と時だけが流れる。
最終授業が終わり、帰ろうとすると亜依が声をかけてきた。
残酷な結末を予想してた僕は、考えと食い違った彼女の口から出た言葉を認識出来ず理解するまでに数秒かかった。
「早く帰ろっ。それともどっか寄って帰る?」
状況を理解出来ないまま亜依と帰ることにした。
「昨日…ごめんね。」
とりあえずそう言ってみた。
「寝てたんだよね?返信遅くなった私が悪いんだから気にしなくていいよ。」
ますます理解出来ない。
気になってあのメールを見ることにした。
「やっぱりそういう意味だったんだ。変に期待したくなかったから聞いてみたんだ。私も謙太のこと好きだよ。だから私と付き合ってください。」
メールが届いたのは午前2時。悩んで悩んでやっと送ったのだろう。
やっと全てが理解出来た。失恋から半日で僕は恋が実った。
それから別れるまで月日が流れるのは早かったけれど。
本当に…。
亜依と別れたのはあれから1週間後。
他に好きな人が出来たみたいだ。
別に嫌いになったわけじゃない。ただ他にも好きな人が出来ただけ。
中途半端なままでは付き合えない。そう言ってきた。
僕らの初めてのキスは別れた日、最後のお別れにと彼女の家の前でした。
僕が別れることを承諾したあと静かに彼女は言った。
「目を閉じて。」
この後なにが起こるかは容易に想像がつく。
初めて触れる女の子の唇は柔らかで、その直後彼女の舌が僕の口に入りこんできたときは少し驚いた。
その舌は想像以上に柔らかく、互いに少し遠慮がちに絡め合うことで存在を確かめあった。
その時間は永遠のように感じられた。
互いの唇が離れたあと、僕らは何も言わずそれぞれの帰路に着いた。
それから僕らはただのクラスメイトに戻り半年前には、僕らは別々のクラスとなった。
1組と7組で教室が離れてることもあって話すことは無く、学年集会でたまに見かける程度だ。
でも僕は今でも狂おしいほど亜依が好き。
別れた日からしばらくは喪失感が僕を襲い、何をする気力もなくただ時の流れに身を任せた。
一度手に入れたものを失う辛さは初めから手に入らない苦しみの何倍も大きい。
こうなるくらいならあの時にフラれていれば良かったかもしれない。
でもたった一週間でも亜依は僕に幸せをもたらしたことも事実だ。
初めてのキスが亜依で本当に良かった。
僕が亜依からもらったもの、無くしたもの、どちらが大きいかなんて分からないけど、亜依との想い出は僕にとってかけがえの無い物であることは確かだ。
風の噂で亜依が別の男にフラれたと聞いたとき「そのスキに付け入るようなことはしない、亜依がまた話しかけてきたら少しずつ近づいていこう。」と決めていた。
だから…久しぶりに彼女に話し掛けられて僕は驚いた。まさか全身の力が抜け落ちるなんて。
ここまで思い詰めているだなんて自分でも思ってなかった。
これからどうなるかなんて分からないけど、僕は亜依の傍にいたい。
それと、きっかけを作ってくれた堀内と古場には感謝してる。
キスが僕らの恋を始めて終わらせた。
だからまたコレで始めてみようと思う。
Smooch!!
今朝元カノに会ったのでこんな話を書いてみました。
もちろんこの話はフィクションなので気にしないでくださいw
キスシーンの描写がやらしいのが気になりますがこのお話のテーマが『キス』なんだから仕方ありません。
ちなみにタイトルの『Smooch』(スムーチ)は日本語で言うところの「チュッ」です。
みなさん、恋には相手を失うリスクが常に付き纏います。
それが他の男(女)に大切な人を奪われるのか、事故で失うのかはわかりません。
でもリスクを畏れて幸せになんてなれっこ無いんだから…頑張って!
いま彼氏/彼女がいる方々へ…一緒にいることが当たり前だと思わないように。あなた方が遊びなら何も言いません。
でも、本気で好きならケンカしたりムカつくことがあっても笑顔で接してあげてください。
それでは。
もちろんこの話はフィクションなので気にしないでくださいw
キスシーンの描写がやらしいのが気になりますがこのお話のテーマが『キス』なんだから仕方ありません。
ちなみにタイトルの『Smooch』(スムーチ)は日本語で言うところの「チュッ」です。
みなさん、恋には相手を失うリスクが常に付き纏います。
それが他の男(女)に大切な人を奪われるのか、事故で失うのかはわかりません。
でもリスクを畏れて幸せになんてなれっこ無いんだから…頑張って!
いま彼氏/彼女がいる方々へ…一緒にいることが当たり前だと思わないように。あなた方が遊びなら何も言いません。
でも、本気で好きならケンカしたりムカつくことがあっても笑顔で接してあげてください。
それでは。
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